船舶工学
船舶工学は船舶の建造(造船)、安全な航行方法や運行にかかわる人間の育成、検査、補修、合理的な海上物流などを取り扱う工学である。船舶はまず水上において航行する能力が求められるが、これを効率的で安全に行なうために、波や浮力についての物理学的知識と、具体的な船体設計のための構造力学及び機械工学が必要となる。船舶は貨物や旅客の輸送などさまざまな用途に用いられるため、その目的に適した設計が研究されている。
船型 船舶は大分類として以下の3つ船型とそれらの分類外のその他の特殊な船型に類別できる。
単胴船(モノハル・シップ) 双胴船(カタマラン・シップ) 三胴船(トリマラン・シップ) その他 水中翼船、表面効果船など 単胴船、双胴船、三胴船の違いは水面下に沈む下部船体の数である。 また、双胴船や三胴船での高速航行向きの船型としてウェーブ・ピアーシング型(波浪貫通型、Wave-piercing)の船舶が2008年現在登場してきている。
単胴船 水面下に沈んで水と直接接する船体が1つである船型である。 多くの船が単胴船であり、船舶の歴史においても最も古く、船舶設計や造船技術の基本となった。 双胴船や三胴船は単胴船からの派生デザインといえる。 一人乗り手漕ぎボートから大型タンカーまでの船舶が単胴船であり、特に高速航行や波浪に対する高い安定性、幅広い甲板を求めない場合には、燃費や建造コストの点で有利である。 水と接する船底部の形によって「ラウンドビルジ型」と「ハードチャイン型」に分かれる。多くの単胴船は船底が丸くスムースなラウンドビルジ型となっているが、船底での揚力を得て水面を滑走するモーターボートのような小型艇は鋭角的な船底を持つハードチャイン型である。また、はしけの仲間は流線型をとらずに四角い箱型の「バージ船型」というものもある。
単胴船での甲板上の上部構造物(上構)の配置によって、更にいくつかの船型に分けられる。上甲板上の建造物の内で左右の両舷に渡って占めているものを「楼」(ろう)や「船楼」(せんろう、Erection)と呼びその位置によってそれぞれ、船首楼(Forecastle)、船橋楼(Bridge)、船尾楼(Poop)と呼ばれる。この楼の配置によって以下のように分かれる。
平甲板型:大型タンカーに多い 凹甲板型:ウェル甲板型とも呼ばれ、小型の貨物船に多い 三島型:昔の貨物船の標準形、またはタンカーに多い 全通船楼型:客船やフェリー、PCCなどに多い
双胴船
米陸海軍共同保有の多用途高速船「ジョイントベンチャー(HSV-X1)」は313フィートの双胴型ウェーブ・ピアーサー実験船である。本船は45ノットでの疾走が可能。写真では細い左右の下部船体と船首中央下部のセンターバウが良くわかる。水面下に沈んで水と直接接する下部船体が細長く左右2つに平行している船型である。 上部船体部分はほぼ四辺形に広く取れるため車輌用フェリーや海上作業用プラットフォームに適している。 波浪に対しては特に左右方向の揺れ(ローリング)が単胴船に比べて小さくなる利点がある。このことから、ブローチングに対する危険度が減じられる。 曳き波の発生が単胴船に比べて小さいことも、高速での航行時には周囲への悪影響が少なくなる点で有利となる。 センターバウがあればバウダイビングに対する安全性の確保に貢献する。
双胴船は古くから考案されていたが、単胴船に比べて水中表面積が増加するためそれだけ摩擦抵抗や粘性圧力抵抗が大きくなる点や、下部船体を左右に分ける事による構造強度確保のための余分の船体重量も排水量が増すことで造波抵抗と他の2つの抵抗を増やしてしまう点などの不利な要素が長年排除出来ずにいた。 これらの問題点を最小化する手段として、アルミ合金製の軽量な船体構造が利用できるようになってはじめて実用的な双胴船が建造されるようになった。
双胴船は横方向での復原力が強いのは良いが、横波による揺れ(ローリング)の固有振動数が高く、少しの短波長の横波でも波に追従して激しく揺れるという問題点がある。

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